2011年5月21日土曜日

G20で「通貨安競争」阻止は困難か、円高懸念で業績見通しに慎?

 [東京 22日 ロイター] 22日午前の東京市場は、きょうから開催される20カ国?地域(G20)財務相?中央銀行総裁会議を前に様子見気分が広がった。各国の利害が対立するなか「通貨安競争」阻止合意は難しいとの見方が多いが、米政府が提起した各国の経常黒字もしくは赤字を対国内総生産(GDP)比で4%以内とする案の行方などが注目されている。

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 国内企業決算発表がきょうから本格化するが、ドル安?円高傾向が続くなかでは先行きの業績見通しに慎重な見方が多い。

 <G20後もドル安継続の見方>

 ドル/円は81円前半で弱含みもみあい。海外市場でのドル買い戻しの動きが一巡し、上値の重さが意識されるなかでじわりと水準を切り下げた。G20での為替に関する議論が注目されているが、各国の利害対立のなかで強い合意はできずドル安トレンドが継続するとの見方が多い。

 G20関係筋によると、G20では、参加各国が自国通貨の切り下げを自制し、また経常収支を一定の幅に収めることに対するコミットメントについての合意は得られない見通し。複数の外交筋によると、米政府は、各国の経常黒字もしくは赤字を、対GDP比で4%以内とする案を提起しているが、関係各国から反対意見も出ている。野田財務相も22日、米提案の経常収支の数値目標は「現 ミネトンカ モカシン
実的でない」との考えを示した。

 JPモルガン?チェース銀行は22日付レポートで、G20について「最も可能性の高い結論は『現状維持』であり、何らかの合意があるとしても、それは『ドル安阻止』ではなく『ドル安容認』方向となる可能性が高い」と予想。「今回のG20を受けて中長期的なドル安の流れが変化する可能性は低い」とみている。

 草野グローバルフロンティア代表取締役の草野豊己氏は「G20では、国際協調が難しいことを確認することになる。為替に関する議論はまとまらないだろう。先進国の代表である米国と新興国の代表である中国との冷戦が始まっている」と指摘。そのうえで「自国の都合で金融緩和を拡大すればいずれ新興国のバブル崩壊を招きかねず、それは輸出減退などを通じて先進国にフィードバックされる。米国は日本の金融緩和が米国の不動産バブルにつながったと批判したが、今は同じことをやろうとしている。これが次の危機になる」(草野氏)と述べている。

 <円高継続なら下期業績に不安>

 株式市場では日経平均は反発。欧米株高を受けて主力株を中心に買いが先行した。銀行株が買い戻されたほか、業績上振れ観測が出たハイテク株の一角が上昇したことも安心感につながった。ただ週末の20カ国?地域(G20)財務相?中央銀行総裁会議を前に為替が1ドル81円台前半で高止まりし、株価の上値圧迫要因になっている。市場では「し ASTARIA RMT
っかりではあるが、週末のG20を控えてフローは細っている。投資家の多くはきょうから本格化する国内企業の決算を見極めてからでも遅くないと考えているようだ。11月初旬のFOMCや米中間選挙の結果次第で米国の政策が変わる可能性もあり、動きにくい」(コスモ証券本店法人営業部次長の中島肇氏)との声が出ている。

 国内企業の9月期決算については「多くの企業が想定レートをドル安に修正することが予想されるが、業績への影響がどの程度なのかマーケットは織り込み切れていない」(準大手証券情報部)という。かざか証券市場調査部長の田部井美彦氏は「大手ハイテク企業などは、新興国需要やリストラなどのコスト削減効果で円高による悪影響を上期は吸収したが、下期は景気先行きに不安があるほか、前年比でみたコスト削減効果も小さくなってくる。さらに円高が進んでいることから影響をどこまで吸収できるかが不透明であり、足元の好業績観測が伝えられても株価の反応が鈍い背景となっている」と話している。

 <円債は最終投資家の需要確認で底堅い>

 円債市場では、国債先物が続落した。日銀の包括緩和策導入以降、複数年にわたる時間軸を織り込んだが、過熱感から売りも出やすくなっている。

 長期金利の代表的な指標となる10年物国債利回りは一時、心理的節目の0.9%に上昇。利付5年物国債利回りは前日比1ベーシスポイント高い0.285%となり、
9月27日以来約1カ月ぶりの高水準を付ける場面があった。

 ただ売り圧力は限定的。財務省が21日実施した20年物国債入札(122回債、表面利率は年1.8%)は、事前に警戒されたほど入札結果が崩れず、市場で「順調な結果だった」と評価された。最低落札価格は100円40銭となり、平均価格との差であるテールは4銭だった。

 市場には「生命保険会社など最終投資家の需要が確認できた」(外資系証券)との声もあり、下値不安は広がらなかった。

 (ロイター日本語ニュース 金融マーケットチーム)


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引用元:Tera rmt

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